余白の肴

雑多です(予定)

茜心とガラスボールリジェクションについて音楽的な話をしてみたい

みなさま、「Second Sparkle」が発売されて数日となりますがが、いかがお過ごしでしょうか。

順調に推しに狂えているようでしたら嬉しいです。

 

僕は声優グランプリ2023年4月号のLiella!特集を読んで息切れしています。ハイカロリーすぎる…

我こそはリエラーだぞ(?)という自覚のある方は読みましょう。

 

ところで作曲家のめんまさんのこちらのツイートはご覧になったでしょうか?

これは何か仕掛けがあるんじゃないか…

 

今回、めんまさんは作曲、編曲のみ。

ということで、僕の比較的得意分野(だと思っている)音楽的な側面から仕掛けを紐解きたいなぁと思いました。

(怪しいところがあったらガンガン突っ込んでください…)

 

とりあえずまず一聴して感じたこと

サビが似てる!!!

では、どんなところが似ているのでしょうか

 

キーがマイナー調

メロディでブルーノートを使っている

コード進行がなんか似てる

 

ザックリ以上の3点が似ているのですが、せっかくなのでもう少し詳しい解説をしたいと思います。

 

 

キー(調)

今回取り上げる茜心、ガラスボールリジェクションはそれぞれ曲のキーがCm(Cマイナー)とDm(Dマイナー)になります。

 

キーの名前には基準になる音によって決定される部分と、響きの明るさによって決定される部分があり、それぞれ以下のような形で決まっています。

 

茜心

Cm :C=ドを基準としている、暗い響きをもったキー

ガラスボールリジェクション

Dm :D=レを基準としている、暗い響きをもったキー

 

同じような響きで、基準の音が違う。と思ってもらえばいいかなと思います。

 

 

メロディ

そして2曲ともメロディで使われている音に特徴のある音が使われています。

 

茜心だと

『間違いじゃないなら 曲げるなよ 信じた信じてればいい 熱く』

 

 

ガラスボールリジェクションだと

『だけどだめ いまはだめ ひとりぼれないよ 戻れない ガラスの中で』*1*2

 

こいつはブルーノートと言われる音で、ブルーノートを使うことでブルージーでせくすぃ~なメロディを演出することができます。

 

 

コード進行

コード進行はこんな感じ

 

 

茜心 key = Cm

 

A♭  G7 | Cm   B♭ E♭ 

間違いじゃない なら曲げるなよ

A♭  G7 | Cm7 Bdim7 B♭m E♭ 

信じたいもの 信じてればいい熱く

Fm7 G7 | Cm F 

君の情熱 茶化さない

A♭ | G 

思ったままでいいよ

 

 

ガラスボールリジェクション key = Dm

 

B♭  | C   | Dm  | Am

だけどだめ いまはだめ ひとりぼっちではいられないよ戻れない
B♭  | A  | Dm   | C    F
ガラスの中で 歌っていたあの日には

B♭  | C  | Dm   | Am

僕の声 君の声 壁を破ってほら溶け合った初め

B♭  | A   | Dm

て芽生えた気持ち見つめてる ガラスボールリジェクション

 

 

ううん!!キーが違う!!!

これではコードの比較がしづらいじゃないの!!!*3

 

そこで今回はディグリーネームという超便利アイテムを使ってコードの解説をしていきたいと思います。

ディグリーネームをつかうとキーの違う曲でも比較が簡単になるのです。*4


ディグリーネームで表記して、さらに簡略化するとこんな感じになります。

 

 

茜心

♭VI V | Im    ♭VII ♭III

♭VI V | Im VIIm ♭VIIm ♭III

IVm V | Im IV

♭VI  | V

 

ガラスボールリジェクション

♭VI | ♭VII | Im | Vm

♭VI | V | Im | ♭VII  ♭III

♭VI | ♭VII | Im | Vm

♭VI | V | Im 

 

 

まず1行目に注目。

 

茜心

♭VI   V  | Im   ♭VII ♭III →(♭VI)

 

ガラスボールリジェクション

♭VI | ♭VII | Im  | Vm →(♭VI)

 

 

♭VI→〇→Im→☆ →(♭VI)

 

という進行で、2つ目のは同じ役割をもっており、3つめのImに向かう流れをつくっているコードになります。

 

 

そして4つ目ののコードは♭VIに向かう進行でありながら

それぞれ歌詞と同じように対照的な役割をもっているのではないかと考えています。

 

茜心は1行目後半~2行目頭までの♭VII→♭III→♭VI(A 0:03~)が強い推進力をもっていて、すべてメジャーコードなので歌詞の通り、励ますような印象やメイちゃん自身の活発なイメージを感じます。*5

 

対照的にガラスボールリジェクションでは、Im→Vm→♭VI(B 0:02~)というコード進行で、茜心の♭VII→♭III→♭VIと比較すると推進力が弱めに感じるコードの並びに感じます。*6 また、マイナー→マイナーと続いてメジャーコードへと進んでおり、暗い響きの連続のあと、推進力の弱い動きでメジャーに進む。という流れに、独りぼっちでいいのに…と思っていたところにメイちゃんが現れ、揺れ動いている心を表しているように感じました。また、四季ちゃんの物静かなイメージも感じます。

 

 

次に注目したいのが赤文字のコード進行。

 

茜心

♭VI V | Im    ♭VII ♭III

♭VI V | Im VIIm ♭VIIm ♭III

IVm V | Im IV

♭VI  | V

 

ガラスボールリジェクション

♭VI | ♭VII | Im | Vm

♭VI | V | Im | ♭VII  ♭III

♭VI | ♭VII | Im | Vm

♭VI | V | Im 

 

実はガラスボールリジェクションの2行目のコード進行、茜心の1行目のコード進行と同じなんですよね。。。。。。四季メイなんですよ。。。。

 

そしてこのコード進行、うまいことできていて、茜心のコード進行はガラスボールリジェクションのメロディに、ガラスボールリジェクションのコード進行は茜心のメロディに合うように作られているんです。。。(たぶん狙ってつくってる)(しらんけど)

(キーが違ったり、テンポやリズムが違うので、そこは調整が必要)

 

それぞれコードを当てはめてみたものがコレ↓

 

A

メロディ:ガラスボールリジェクション

コード:茜心

B

メロディ:茜心

コード:ガラスボールリジェクション

 

個人的に茜心のIm VIIm ♭VIIm ♭III の進行がガラスボールリジェクションのメロにうまくハマっているところが気持ちよくてテンション上がりました。(Aの0:12~)

 

と、こんな感じで稚拙ながら音楽理論を使って解説をしてみました。

Twitterめんまさんのツイートをみたときはまさか......と思いましたが、そのまさかでニヤけがとまりません......

 

公式カップリングもここまでくると狂気を感じて良いですね

*1:ちなみに『ガラスの中で』の最後の音に特徴があるが、これはハーモニックマイナーというスケールを使用している。何も捻りないスケールだとマイナースケールとなり、 C♯ではなく、Cが使われる(はず)

さらにAメロではハーモニックマイナーパーフェクト5thビロウ(HMP5↓)という必殺技のような名前のスケールを使用しており、怪しく民族的な雰囲気を醸し出している。KPOPらしさの一助になっていると思う

*2:なぜかDAWで出力するとシャッフルで記載されるところと普通の八分で記載されるところがある…どうして…

*3:キーの違う曲のコード進行を比較する時、同じ音で構成されるコードであっても、キーによってコードの役割が変わってしまうため、単純比較がしにくい。

*4:例えばキーがCメジャーならCはI、DmはIIm、EmはIIIm、FはIV、GはV......のようにキーに対して役割が決まっているコードに数字を振ることで、コード進行を捉えやすくするための手法。キーがDメジャーならDがI、EmがIIm、F♯mがIIImになる。

今回はCマイナーとDマイナーの比較になるため、それぞれ以下のような表記になります。

  Im IIdim ♭III IVm Vm ♭VI ♭VII
Cm Cm Ddim E♭ Fm Gm A♭ B♭
Dm Dm Edim F Gm Am B♭ C

気になる方はダイアトニックコードでggってください。

 

*5:並行長調でみたとき、♭VIIと考えることができ、Iに解決するII→V→Iという流れになっている。強進行とドミナントモーションの組み合わせ。

*6:ということにさせて←